熱狂的なファンを生み出す 「世界観」のつくり方
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『「世界観」のつくり方』イ・ジヒャン・著 李聖和・訳 日本実業出版社
本日ご紹介する一冊は、韓国の制作プロダクション「安全家屋」でコンテンツの企画・開発に携わる著者が、映画、ドラマ、アイドル、漫画、YouTubeなどさまざまなジャンルのヒットコンテンツから、成功の秘訣を導き出した一冊。テーマとなっている「世界観」が、なぜ熱狂的なファンを生むのか、コンテンツ作りにおいて大事なことは何か、クリエイティブの貴重なノウハウが語られています。
なかでも注目したいのは、キャラクターや世界観の設定方法、そしてそのビジネスの展開方法。本書では、アイドルグループのEXO、メタバースのZEPETO、マーベル・シネマティック・ユニバース、ネットフリックスのオリジナルドラマ『イカゲーム』、登録者数270万人を誇るYouTubeの人気コメディチャンネル『ピシク大学』などを例に、どうすれば人気コンテンツが作れるか、その世界観を維持できるか、創作と運用のヒントが示されています。
紹介されている原則やノウハウは、リアル/バーチャル問わず使えるため、コミュニティを作りたい著者やメディア、個人にとっても勉強になると思います。なかでも、ファンが感情移入できるキャラクターの条件、世界観のトーン&ムード、現実とは違う新しい世界を作るための「What if」は、知っておいて損はないと思います。創作の実践的ノウハウとヒントがしっかり入った内容で、コンテンツ事例も韓国が中心で面白い。業界内部にいる著者ならではの分析の深さも読みどころです。
引用
物語の3大要素は「人物」、「事件」、「背景」といわれます
「僕たちはEXOプラネットという未知の惑星からやってきた」(EXOのメンバーが語ったこと)
EXOの初期の世界観について、デビュー曲『MAMA』のミュージックビデオには、次のようなナレーションがあります。かつて空と地がひとつだった頃、12個の伝説の力によって生命の樹が育まれていた。赤い気を宿す目が悪を生み、生命の樹は蝕まれ、その心臓は枯れつつあった。その心臓を守るべく樹を2つに分けて隠すと、時間は覆され空間に歪みが生じた。12個の力は半分に分かたれ、そっくりな2つの太陽がつくられた。そっくりな2つの世界へと、伝説はそれぞれ動き出した。2つに分かれた伝説は、同じ空を仰ぎながらも異なる地を踏み、同じ地を踏みながらも異なる空を仰ぐだろう。(中略……)赤い気を完全に浄化し、12個の力が再びひとつの根のもとに集まる日、新たな世界が拓かれるだろう。
アイドルの世界観は基本的に、ヒントを撒いておきながら簡単には答えを教えない、謎解き構造になっています
共通性を感じるには、キャラクターには2つの特徴が求められます。ひとつは“欲望の普遍性”、もうひとつは“行動の意外性”です
なぜそのキャラクターがそのような欲望を抱くようになったのかという“動機”が見えなければ、人はキャラクターという想像上の人物と自分を同一視しにくい
共通性に“憧れ性”という要素が加わったとき、人はより一層そのキャラクターにのめり込みます
憧れ性の要素
(1)専門性
(2)自分が越えられない線を代わりに越えてくれる
ヒーローは“犠牲になる者”である
現実世界とは異なる新しい世界をイメージするとき、そのスタート地点に立って、“もし~だったらどうだろう?”と仮定してみましょう
キャラクターの限界は、“役割の限界”と“能力の限界”に分けることができます
◆目次◆
はじめに “世界観”という不思議な世界
PartI 世界観とは何か
第1章 世界観って何だろう?
第2章 世界観はなぜ必要か
第3章 世界観をうまく活用したコンテンツ
PartII 世界観をどうやって構築するか--4つの必須要素
第4章 キャラクター
第5章 時空間
第6章 トーン&ムード
第7章 設定
第8章 世界観を構築する際の注意点
PartIII 世界観をどう活用するか
第9章 スーパーIPの世界
第10章 愛とファンダムの世界
本書で紹介した主な作品リスト